教育情報サーバの利用に関するアンケート結果報告



1996年1月17日 大阪教育大学 物理学教室 越桐國雄・新家珠緒・本郷早苗・寺口雅子

1.はじめに


 昨年の12月に実施した「インターネット上の教育情報サーバの利用に関するアンケート」 の結果を報告します。これは、国内における教育に関する2次情報提供サーバを 今後どのような形で展開してゆくのが望ましいかのヒントを得るために企画したものです。

 アンケートの対象は、1995年11月末の時点で、インターネット上にオリジナルな ホームページを開設している小・中・高等学校の教員個人とし、147校、222名に 電子メールで発送しました。その結果、94名の先生方からご回答をいただきました。

 不慣れなアンケートで、どうもはっきりした結果が出せなかったような気もしますが、 なにかの参考になれば幸いです。また、先生方にはお忙しい中をご協力いただきまして、 たいへんありがとうございました。ここに厚くお礼を申し上げます。


2.回答者情報


アンケートの質問項目と回答結果はここをみてください。

さて、回答者の内訳は以下のとおりでした。

 回答者の年齢分布です。国内の教員の年齢構成分布と比較しないと、 はっきりしたことがいえないのですが、印象としては、意外に若い方が 少ないようです。一般のインターネットユーザが20代や30代の前半に 大きなピークがあるのと好対照です。各学校の中堅、ベテランの先生方が 中心になってがんばっておられるようです。

     図2-1. 回答者の年齢分布


 回答者の所属です。高等学校の先生が約半数を占めています。中学校が約3割、 小学校は中学校の約半分となっています。これを、ホームページを開設している 学校数、高等学校38%、中学校30%、小学校26%、その他6%と比べて見てると、 小学校の先生からの回答が少なかったようです。

     図2-2. 回答者の所属


 回答者の専門教科です。小学校の先生等で複数回答されている 方もいらっしゃいます。理科、算数/数学、社会、英語、技術・家庭 の順ですが、工業高校や商業高校などで、専門教科を担当されている 先生方も多く、その他の項目が非常に多くなっています。 (注:職業高校は高等学校のホームページの約3割を占めています。)

     図2-3. 回答者の専門教科


3.アンケートの結果


【1】情報アクセス手段

 まず、インターネットへの情報アクセス手段として何を用いているかを尋ねました。 ホームページを開設している先生方を対象としたため、当然ながらWWWと 電子メールがトップで、ほとんどの回答者が使っていることがわかります。 (そもそもメールがつかえないと返事が来ないわけです。^_^;;;) また、約7割の先生方がメーリングリストに参加されていました。一方、 ネットニュースの利用は、パソコン通信やファイル転送と同程度で、3割弱にとどまって います。これについては、最近aimitenoメーリングリストでも少し議論がありました。

     図3-1. 情報アクセス手段


【2】要求される1次情報

 インターネットでどんな教育情報が必要とされているかという 質問のつもりだったのですが、項目が十分整理されていなかったため、 際立った特徴がでませんでした。従来のコンピュータ教育でウェイト が大きかったプログラム・ソフトウェアが相対的に必要度が少ないようです。 また、電子教科書のイメージもはっきりしなかったため、選ばれていません。

     図3-2. 要求される1次情報


【3】2次情報サーバの選択

 現在、利用している情報サーバをこちらで例示したもの中から 選択してもらいました。例えば横浜国立大学の理科教育のリンク集の ようにすぐれたものでも特定の教科のものは省きました。 で、やはりNTTCECの100校プロジェクト一覧の認知度が 高いようです。「インターネットと教育」はアンケート発送元でもあるという 条件がつくため、バイアスがかかっているでしょう。 近多さんのYahhoもよく利用されています。

     図3-3. 2次情報サーバの選択


【4】2次情報サーバの利用

 2次情報サーバの利用に関しては、週1回以上が4割程度で 最も多く、これに1日1回以上が続いており、比較的頻繁に アクセスされている様子がわかります。なお、大阪教育大学の 「インターネットと教育」のページは、最近は300-400 ファイルアクセス/日くらいです。

     図3-4. 2次情報サーバの利用


【5】2次情報サーバの要件

 最後に、2次情報サーバに要求される要件ですが、情報の 更新頻度がトップになりました。これにつづいて情報の正確さ が要求されています。情報量が多いことより、情報の質が重視 されていることがわかります。また、利用者による情報登録への希望 が少ないのですが・・・うーんそうでしょうね、困ったなあ^_^;;;

     図3-5. 2次情報サーバの要件


4.まとめ


 アンケートの結果、私たちの印象に残ったのは、メーリングリストに比べて ネットニュースの利用がかなり少なかったことです。また、「物理学電子テキスト プロジェクト」を卒業研究として取り上げようかという議論もしていただけに、 インターネットで必要な情報として電子教科書が最下位にきてしまったのも 意外な発見でした(あたりまえといわれればそうかも・・・-_-;;)。

 かなり質問項目をしぼってしまい、またそれらが十分整理できていなかったため、 情報をうまく引き出せなかったのが残念です。100校プロジェクトの先生方をはじめ、 皆さん非常にお忙しいところにもってきて、このようなアンケートが山ほど押し寄せている でしょうから、もう少し入念な準備が必要だったと反省しています。 次回(もしあれば)もどうぞよろしくお願いいたします。


5.おまけ


 アンケートの発送先のメールアドレスを探す過程で、各学校のホームページを 拝見させていただきました(もちろん、「インターネットと教育」のページの 管理のために、3〜4週間に1度はアクセスしているのですが)。

そこで、私の感じた、ホームページ(はじめのページ)にあると有難い情報を整理させていただきます。

  1. 学校の名前と所在地(漢字表記および英文表記→これで読みもわかる)
  2. 連絡担当者の氏名(漢字表記および英文表記)とメールアドレス
  3. 著作権に関する表記、「自由にリンクしてもいいですよ」などなど
  4. 新着情報(日付け入り)
これらをちゃんと書いておくと、電子メールでのアンケートの請求がどんどん 届く危険性もないわけではないですが、あったほうがお互いに便利だと 思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。


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大阪教育大学 物理学教室 越桐國雄 (1996年1月17日)